しょ しょ 證誠寺
仕事帰りに證誠寺(証城寺・しょうじょうじ)を訪ねました。17世紀の江戸時代初期に建てられた浄土真宗の寺で、当時は樹木や竹藪が鬱蒼と茂る寂しい場所だったようですが、有名なのが狸囃子(たぬきばやし)伝説、ある中秋の名月の晩、何やら庭先が賑やかなので住職がそっと覗いてみると、大小の狸が集まって、
『證誠院のペンペコペン、おいらの友だちゃドンドコドン』
と腹鼓(はらづつみ)を打って楽しげに歌いながら踊っている。元来が陽気な性格だった住職も楽しくなって、自慢の三味線をかき鳴らし、本堂の木魚を叩きながら狸たちと一緒に楽しくフィーバーしたという例の昔話です。
この伝説を元に大正時代、野口雨情作詞・中山晋平作曲で誕生したのが『証城寺の狸ばやし』という童謡ですね。
しょ しょ 証城寺 証城寺の庭は
つ つ 月夜だ みんな出て来い来い来い
おいらの友だちゃポンポコポンのポン
負けるな負けるな 和尚さんに負けるな
来い来い来い 来い来い来い
みんな出て来い来い来い
しょ しょ 証城寺 証城寺の萩は
つ つ 月夜に花盛り
おいらの友だちゃポンポコポンのポン
日本で生まれ育った人なら子供時代に何度も歌ったことのある童謡だと思います。
現在の證誠寺は千葉県屈指の都会にしては閑静な住宅街にあるとはいえ、その昔は樹木や竹藪が生い茂る昼なお暗き寂しい場所だったという面影はまったく残っていない、ごく普通のお寺でした(写真左)。ところで和尚さんと一緒に毎晩大騒ぎした狸たちがその後どうなったか、子供の頃に童謡を歌った皆さん、ご存知でしたか。私も今回初めて知ってびっくりしました。
1)江戸幕府の雅楽奉行に取り立てられた
2)浅草の芝居小屋でアイドルになった
3)毎晩うるさいので立ち退きを命じられた
4)腹を叩きすぎて死んでしまった
5)実は今でも陰で楽しく騒いでいる
ネット上にも狸囃子の昔話が幾つか紹介するサイトがあって、そのひとつによるとある時、新しい住職が證誠寺に赴任してきたので、近くの山林に住む妖怪の化け狸が一つ目小僧やろくろ首に化けて驚かしてやろうとしたが住職は一向に動じない、それで毎晩仲間を集めてお寺の庭で大宴会を繰り広げたけれども驚くどころか一緒に楽しんでいる様子、化け狸は何とか住職を打ち負かそうとヒートアップして腹鼓を叩きすぎて死んでしまったということらしい。狸囃子が鳴り止んだ翌日、住職は腹の皮が破れて死んでいる大狸を見つけ、不憫に思って庭先に葬って供養した、その狸塚も證誠寺に残っていました(写真右)。ということで正解は4)でした。
さてこの童謡の元になった證誠寺、子供の頃に読んだ童謡の絵本の舞台は深い山奥になっていて、大きな満月の下で大狸や子狸が輪になって歌い、本堂から顔を出した和尚さんもニコニコしながら木魚を叩いている、そんな絵柄が記憶に残っていたので、『しょうじょうじ』はどこかの山寺だとばかり今まで思っていましたが、実は證誠寺があるのは千葉県内房の木更津市、歩いて15分ほどのところにはご覧のような木更津港があり、港口には不思議な形をした中の島大橋が架かっています。
付近には陸上自衛隊の駐屯地もあり、そう言えばここには2024年現在オスプレイが暫定配備されているんでしたね。私が訪れた時にはオスプレイは飛んでいませんでしたが、他の陸上自衛隊のヘリコプターが飛行しているのが見えました。それにしてもオスプレイというのはどうして空を飛んでいるのか、私の浅学な航空力学の知識では分かりません。大きなローターでヘリコプターのように空中に浮上したら、今度はローターを前方に向けてプロペラのような推進力を得るわけですが、上に向けていたローターを前に向ける途中で、機体にどういう力学が働くのかが理解できないのです。狸が一つ目小僧に化ける原理みたいなものですね(笑)。
オスプレイ 女が乗ればメスプレイ メイド服着てコスプレイ 失礼(笑)
あと木更津は日本で初めてジェット機が飛行した土地です。あまり知られていませんが…。
終戦間際に日本海軍が試作した橘花という戦闘機ですね。『ゴジラ-1.0』で活躍した震電も海軍の試作戦闘機でしたが、あちらはプロペラ機に対して橘花はジェット機、花の名前が付いてますから海軍上層部は特攻機として開発したんでしょうが、元々はナチスドイツが開発したメッサ−シュミットMe262を参考に開発されました。しかし設計図などを受け取ってドイツからせっかくシンガポールまで帰ってきた遣独潜水艦の伊号29が内地へ向かう最終航程で撃沈されてしまったため資料の大半は失われ、結局ほとんど日本が独自で開発することになりました。その日本初のジェット機橘花が木更津の空を舞ったのは1945年8月7日、たった12分間でしたが第1回目の試験飛行を成功させたものの、12日に行われた第2回目の試験飛行で滑走路をオーバーランして機体は大破、その3日後に終戦となりました。