サンライズ出雲・瀬戸

 2015年8月23日の朝、前日に札幌駅を発車した最後の寝台特急北斗星が上野駅に到着して、
青い流れ星とも呼ばれた青い客車の寝台特急=ブルートレインは完全に姿を消しました。ブルートレインという言葉に込められた私の郷愁は別のページに書きましたので、そちらを読んで頂くことにして、北斗星を最後にすべての寝台特急が消えたわけではなく、車両が青塗りでないというだけで、まだ幾つかの寝台特急列車が健在です。

 そういう寝台特急列車の1つが、東京駅を午後10時(2015年現在)に発車するサンライス出雲・瀬戸、いわゆるサンライスエクスプレスで、途中岡山までは一緒に連結して走りますが、翌朝6時27分に岡山駅に到着した後は、サンライズ出雲は伯備線を通って出雲市まで、サンライス瀬戸は瀬戸大橋線を通って高松まで走ります。

 私は高松の学会の時と、島根の学会(あえて松江の学会と言わないところがミソ)の時に合計2回、このサンライスエクスプレスを利用しましたが、上の写真は島根の学会の時のものです。従来のブルートレインの車両の塗装は夜をイメージしたダークブルーでしたが、サンライズエクスプレスの285系の車両は赤とベージュのツートンカラーで朝日をイメージしているらしい。

 この列車は豪華な寝台個室を主体としていますが、寝台特急のくせに寝台料金の要らない不思議な寝台があります。その“ノビノビ座席”に乗ってみました。右側2枚の写真がそのノビノビ座席です。光線の具合でカーペットの色が違うように写っていますが、中央の写真が通路側から、右の写真が窓側から撮影したコンパートメントの様子です。車両1両分のスペースのお座敷を、人間1人が寝るだけの簡単な間仕切りで区切っただけの構造が、上段と下段にそれぞれ設けられているわけですね。

 隣のコンパートメントのお客さん同士の寝顔が見えないだけの間仕切りですから、ちょっと寝相が悪いとすぐに隣の人の足を蹴っ飛ばしてしまいそう…、なるほど、これなら寝台料金は要らないわけです(納得)

 ご存知でない方のために申し上げておきますが、寝台特急列車の料金は、運賃と特急料金の他に寝台料金が別途必要です。寝台使用料みたいなものですが、ノビノビ座席はシーツや丹前などの寝具が備え付けられていないので寝台料金がかかりません。
 夜行列車の旅に慣れた方なら、ノビノビ座席でも手足を真っ直ぐ伸ばして寝られるからお得と言えばお得、ただし貴重品の管理だけは気をつけなければいけませんね。

 ところで見知らぬ男女混合で開放空間に乗り合わせているにもかかわらず、意外なことに若い女性の利用も多かったです。しかし考えてみれば開放空間なだけに、一昔以上前の世代の女性たちなら心配したであろうような不埒な事件は却って起こりにくいのでしょう。上下のフロアにいる何十人もの不特定多数の目は、性犯罪や凶悪犯罪を未然に抑止するのだと思います。もしかしたらこんな夜行列車は日本だけかも知れませんが…。

 さて、終点に着いてサンライズ出雲のお顔を拝見、なかなか垢抜けた洒落たデザインです。約12時間かけて東京からここまで運んでくれたわけですが、いつも夜行列車を降りる時は、ブルートレインでも夜行急行でも、自然に「ご苦労さん」という気持ちになります。新幹線時代になってそういう気持ちにならなくなってきたのは少し淋しいですね。
 ン、終点?サンライス出雲の終点って出雲市ですよね。学会って松江であったんじゃなかったっけ?
ハイ、今回はここまで〜(笑)

         また乗りたいな