あっ、入らないで下さいって書いておいたのに、とうとう入って来てしまいましたね。「ツルの恩返し」のお話とか、子供の頃に聞いたことないんですか?じゃあ聞かせてあげましょう。
ある日、「彼女イナイ歴20年」の若者の家に、美しい女がやって来て、ヨメにして下さいと頼んだそうです。女は男のヨメになった翌日から、奥の座敷にこもって機織(ハタオリと読んで下さいね。キショクとか読まないように)を始めました。この女の織った布は都でも評判となり、男はみるみる金持ちになっていきました。ところがいつも女は、決して自分が機を織るところを見ないようにと、男に頼むのでした。
「ねえ、お前様、私が機を織る間は決して座敷の中を見ないで下さいね。もし見られたら、もうお前様とは一緒に暮らせなくなってしまって、私も悲しいから…。」
ところがある日、女がまた機を織ることになったが、男は好奇心を押さえきれなくなって、ついに座敷を覗いてしまいます。すると機を織っていたのは人間の女ではなく、いつか男が畑で罠から助けた一羽のツルだったのです。機を織り終わった女は、悲しそうに男に告げました。
「ああ、とうとう見てしまったのね。あれほど言ったのに。私、もう行かなくっちゃ。」
女は元のツルの姿に戻ると、泣きながら西の空を指して飛び去っていったということです。
現在の幸せを失いたくなかったら、あまり詮索しない方が良いかも知れませんよ。私もこの男がもっと自重してくれたら良かったと思います。ツルの女が哀れです。
覗きは楽しいよ もう覗きはしません