板橋の縁切榎
このページだけはくれぐれもカミさんに内緒にしておいて欲しいのですが(笑)、ここは板橋区本町にある縁切榎です。いつの頃からか、この木の下を嫁入り行列が通ると必ず不縁になるという噂が広まり、それならばというわけで、この木の霊力を逆手に取って、別れたいのに別れられない相手と離縁できるように願を掛ける御守りとして、人々は縁切榎(えんきりえのき)と呼ぶようになったそうです。江戸時代には将軍家に嫁ぐ花嫁の行列も、中山道の板橋宿を通過する際、この木の下を避けたとか、木を隠したとか言われています。
現在の榎は3代目の若木だそうですが、昔からこの木の樹皮を煎じてイヤな相手に飲ませると霊験あらたかで、男女の熱も自然に冷めて別れられるのだそうです。最近の若い女性たちならば、別にこんな榎に頼らなくても、お気に召さなくなった男子にキッパリ“ごめんなさい”をするんでしょうが(私の世代の女性たちもそうだった…泣)、戦前くらいまでは女性の地位も低くて、家の都合や世間体で無理やり連れ添わされた亭主がイヤでイヤでたまらない時などは、こういう霊木のお世話になったんでしょうね。
縁切榎というのは特に板橋宿の専売というわけではなく、日本全国に数え切れないほど何ヶ所もありますし、榎以外にも、縁切欅(えんきりけやき)だとか縁切松(えんきりまつ)だとかいろいろあるようです。昔から別れられない男女の縁に苦しむ女性は跡を絶たなかったということでしょう。男女関係ばかりでなく、どうしても止められない酒を断つような場合にも効力があったようです。
この板橋の縁切榎、私の職場の近所にあり、医局の先生方の車に乗せて頂いた時などに前を通ってよく知っていたのですが、今回の東日本大震災の影響で電車通勤ができずに徒歩で出勤した際、改めて写真など撮ってきました。別に願を掛けることもありませんし(笑)、願を掛けられてたら真っ青ですが(汗)、この震災被害の悪縁が早く切れるようにと、私のサイトに紹介してみました。