サウンド・オブ・ミュージック(ザルツブルグ)
前回、第九のところでちょっとだけウィーン(Wien)を訪ねた話を書きましたが、ハンガリーで国際病理学会があった時に途中でカミさんと合流してオーストリアを旅行したわけです。(もちろん休暇扱いです。ハンガリーでの話はまた別に書きます。)ハンガリーからオーストリアにかけては近代のクラシック音楽の作曲家たちが綺羅星のごとく現れて活躍した場所で、いろいろとゆかりの場所をカミさんに付き合って回りましたが、ザルツブルグ(Salzburg)は私の大好きなミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック(The Sound of Music)」の舞台でもあり、私の音楽趣味にもピッタリの土地でした。
ついでですが、ウィーンからザルツブルグへ向かう特急列車のコンパートメントでアメリカ人の生化学教授と一緒になり、どこへ行くのかと訊かれたので、「We are going to ザルツブルグ」と答えたら、「?」という顔をしている。そこでもう一度、「ザルツブルグ」。「???」。仕方なく地図を取り出して場所を指差し、「Here」。そうしたら「Oh,サルツバーグ!」
私の英語の発音が悪いだけではなかったようです。ドイツ語読みの地名なので頭文字のSが濁るのですが、アメリカ人は濁らずに読むらしいです。さらに話が脱線して、Sが濁るのは英語ばかりでなく、我々のローマ字読みにもない発音ですが、1972年のミュンヘンオリンピックで日本の男子体操の加藤沢男選手が鉄棒で金メダルを取った時、場内のドイツ語アナウンスが「ザワオ・カトー」と発音していたのを覚えています。
さて地名の発音はそれくらいにして、上の写真はミラベル庭園(Mirabell Garden)で、新市街の中心にある美しい公園でした。正面の丘にホーエンザルツブルグ城(Festung
Hohensalzburg)を望む画面右手の階段と噴水は、ミュージカル映画the Sound of
Musicの中で、ジュリー・アンドリュース(Julie Andrews)扮する尼僧見習いのMariaが7人の子供たちと一緒にドレミの歌を歌う場所の一つです。ついでにドレミの歌を歌いながら自転車で走り抜ける橋がこちらの写真…↓。
しかし何と言ってもあのミュージカルの中の最大の見せ場は、トラップ大佐にナチスからの出頭命令が出て、音楽祭に紛れて一家揃ってスイスへ脱出する場面でした。一家が音楽祭で歌うエーデルワイスの歌は一番私の印象に残っている歌です。あの音楽祭の場面には祝祭劇場が使われていますが、現在でも音楽界の由緒あるザルツブルグ音楽祭の行なわれる大ホールではなくて、岩壁をくりぬいて作られた「岩の馬術学校」と呼ばれる幻想的な空間で撮影されています↓。
ミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」は第二次世界大戦でナチスドイツの統治下に置かれたザルツブルグ地方が物語の舞台になっていますが、第二次世界大戦を題材にしたこんな美しいミュージカルがあったなんて、我々日本人から見ると何だか不思議ですね。
「サウンド・オブ・ミュージック」は1965年の作品ですが、それより前の1949年製作のミュージカル「南太平洋」(映画化は1958年)もまた第二次世界大戦を舞台にしていることを知らない世代も増えてきました。こちらはその名のとおり南太平洋の島を舞台にした日米戦で、零戦なんかが飛んでくるんですよね。