座敷童子

主に東北地方に伝わる話で、オカッパ頭の子供の姿をした神様、または妖怪である。座敷ワラシ、座敷ボッコ、蔵ワラシ、御蔵ワラシなどさまざまな呼び名があり、これが住みついた家は栄えるが、いなくなると没落してしまうと言われる。夜、寝ている人の枕や布団を悪戯したりすることもあるらしい。以下、いくつか文献から拾って紹介します。



 「大道めぐり、大道めぐり。」
 一生けん命、こう叫びながら、ちょうど十人の子供らが、両手をつないで丸くなり、ぐるぐるぐるぐる座敷の中をまわっていました。どの子もみんな、そのうちのお振舞によばれて来たのです。
 ぐるぐるぐるぐる、まわってあそんでおりました。
 そしたらいつか、十一人になりました。
 ひとりも知らない顔がなく、ひとりもおんなじ顔がなく、それでもやっぱり、どう数えても十一人だけおりました。そのふえた一人がざしきぼっこなのだぞと、大人が出て来て言いました。
 けれどもたれがふえたのか、とにかくみんな、自分だけは、どうしてもざしきぼっこでないと、一生けん命目を張って、きちんとすわっておりました。
 こんなのがざしきぼっこです。
                  宮沢賢治:「ざしき童子のはなし」より



 綾織村砂子沢の多左衛門どんの家には、元御姫様の座敷ワラシがいた。それがいなくなったら家が貧乏になった。
 遠野の町の村兵という家には御蔵ボッコがいた。籾殻などを散らしておくと、小さな児の足跡がそちこちに残されてあった。後にそのものがいなくなってから、家運は少しずつ傾くようであったという。
                      柳田国男:「遠野物語」より

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