とんでもないルート

 先日(2011年3月11日)の東北・関東の巨大地震以来、電力不足による計画停電のため、各鉄道会社とも朝夕のラッシュ時も含めて運行本数をかなり制限しているので、いつもに比べて通勤が困難になっている。
「無理をせずに次の電車をご利用下さ〜い」
とホームのアナウンスで言われても、次の電車もギッシリ満員で到着するから、これはもう覚悟を決めて車内に突入せざるを得ない。それがイヤなら朝早く起きて比較的余裕のあるうちに乗車するか(まさに早起きは3文の得)、徒歩で通勤するしかない。

 私などは自宅から職場まで7キロもないので徒歩通勤も何度かやったが、少しでも歩く距離の少ないコースを見つけるために、最近ではインターネットがなかなか便利である。昔は1万分の1の地図に定規を当てて距離を計測して、最短ルートを割り出したものだが、今ではGoogleなどのサイトの地図に出発地と目的地を入力すれば、あっという間に最も妥当な行き方を示してくれる。飛行機を使う場合、鉄道で有料特急を使う場合、自動車を使う場合、徒歩の場合などそれぞれに応じて算出してくれるので大変便利ではあるが、別のコーナーに書いたようにこれでは人間の能力が減退してしまう。

 とりあえず自宅から職場までの徒歩ルートを自分自身で想定したものをGoogleで再確認した後、機械があまりにも簡単に最短距離を計算してしまうのが小癪だったので、ちょっと無理難題を吹っかけて、意地悪なルートを検索させてやろうと思い立った。

自宅の最寄りの練馬駅からアメリカ合衆国のニューヨークまで徒歩で

Googleの野郎め、ザマ〜見ろ、検索できないだろ!

 ところが敵ながら天晴れ、Googleはほんの5秒か6秒考えた後、何と練馬からニューヨークまでの“徒歩ルート”を検索して提示してきたのである。
 「千川通り/都道439号線を目白通り/都道8号線に向かって西に350m進む」に始まって、どの通りを右折しろ、左折しろ、交差点を越えろと細々と指示した後、
太平洋をカヤックで横断してアメリカ合衆国(布哇)へ向かえ、と言ってきた。これには完全に脱帽で笑ってしまいますね。この距離6,243km…。泳げと言ってこないだけマシか…。
 布哇は“ハワイ”である。カヤックでハワイ西岸に到達した後、不法入国で拘束されなければ、さらにハワイの州内の道路を右折、左折、直進して、再びハワイ東岸からカヤックで合衆国本土を目指す。この距離4,436km…。
 そしてシアトルで合衆国本土に上陸してから北米大陸を横断して、ニューヨークのマンハッタン島南部に到着するまで、合計15,437kmを実に127日13時間で踏破するのである。どなたかチャレンジしてみませんか(笑)。航路の安全の責任は持ちませんが…。

 このルートで奇想天外なのは、何と言ってもカヤックでの太平洋横断なのだが、黒潮に乗ってアメリカ西岸を目指せるから人力でも良いのかと思ったら、逆コースでもカヤック利用で所要時間が変わらないことになっている。
 さらにGoogleで海外徒歩旅行ルートを調べさせると、ヨーロッパ方面や韓国などはサービス提供範囲外で計算不能、カヤックを使えばアメリカ合衆国よりは行きやすいと思うのにね(笑)。
 しかし中国の北京へはちゃんと徒歩ルートを計算してくれて、鹿児島県の串木野から定期船で下甑島に向かい(定期船は乗ってもいいらしい)、そこから先はジェットスキー(水上オートバイ)で上海を目指すのだ。何でアメリカはカヤックで、中国はジェットスキーなのか、その理由も不明である。航続距離の問題か?

ここでクイズです。
日本からアメリカまで“徒歩”で行く場合、カヤック船出の地として最適だとGoogleがお勧めなのはどこでしょうか。日本地図を思い浮かべながら1分間ほど考えてみて下さい。

 実はちょっと意外なのですが、○○から船出して、○○のあたりを経て太平洋へ漕ぎ出すのです。これは出発地が稚内から那覇まで日本全国どこからでも共通です。まあ、一番ハワイに近そうな土地で、海路を最短にしようと思ったら、やっぱりここかな。

註)以上は2011年3月現在のGoogleプログラムによるものです。

         とても行けないね