2大怪獣対談:ゴジラとモスラ、あの頃を熱く語る

エー、本日は先頃東京スカイツリーで偶然お見かけしたゴジラさんとモスラさんの近況報告が意外と好評だったので、お二人を本サイトにお招きして、お二人がお暴れ…イヤ(汗)…ご活躍されていた頃の話について熱く語って頂こうということで、ぜひよろしくお願いいたします。
モスラで〜す、よろしくお願いしま〜す。
ゴジラだぜ。それよりキングギドラの野郎はどうした?今日は来ねえのか?
ハイ、本日は具合が悪いとかで…(汗)。
嘘だろう、この間はピンピンしてるって言ってたけどな。対談があったら絶対行きてえと…。
じ…実はですね…、キングギドラ様はギャラも3頭…イヤ(汗)…3人前よこせとおっしゃるもんですから、ちょっと予算の関係で…。
何だ、何だ、キングギドラの野郎、さんざん稼いだくせにケチなこと言いやがって。じゃ、そのギャラが浮いた分、俺に回してくれないかな。
ちょっと、ちょっとゴジラ君、お止めなさいよ、みっともない。
ヘッヘッヘ、すまん、すまん、俺も最近スクリーンの出番が無いもんでな。
ハハ…そこを何とかひとつよろしく…。

ということで、先ず最初の話題ですが、やっぱりお二人にはあの東京スカイツリーを倒すのは絶対に不可能でしょうかねえ。
当たり前だろうが。あれは高さが634メートルだっていうじゃねえか。俺の身長は100メートルだぜ。じゃあ、何かい、お前ら人間は高さ10メートルの大木でも素手で軽々と倒せるとでも言うのかよ?
私も無理ね。幼虫時代に東京タワーを倒した時は、150メートルの第一展望台の高さまで鉄骨に張りついて、ウーンと反り返ったのよね。150メートルで333メートル、大体1対2の比率よ。テコの原理から言ってもこの辺が限界かしら。1対4の比率だからスカイツリーは私には倒せないわ。
へえ、モスラ、お前、意外と頭が良いじゃねえか。算数の計算しながら暴れてたのか?
当たり前よ。あんたとは頭の構造が違うわ。
バッ、バカにするな、虫けらのくせにっ!
あ、ゴジラ君、怒ると口から放射能が…。
おっとっと、これだけは洩らさないようにしなけりゃな。

そう言えばゴジラさん、最初の頃は口から吐くのは放射能と言われてましたが、後の方ではただの熱線とか言われてましたよね。どっちが本当なんですか?
まあ、熱線の方が正しいかな。俺としちゃどっちでも構わんのだが、俺が口を開いてウンといきむと、目の前にある物がパッと爆発して燃え上がるから、俺はただ面白くてやってただけなんだ。第一、放射能じゃあんな爆発しないだろ。
でも一度、確か金子修介監督でしたか、『大怪獣総攻撃』(2001年)ではゴジラさんが口を開けて核爆発を起こしましたよね。
ああ、あの監督ね、変わったヤツだったな。普通ならキングギドラの野郎を悪玉にして、俺はキングギドラをやっつける善玉ヒーローになるんだが、あの映画じゃ俺が悪玉でキングギドラの野郎が善玉だった…。
私はいつでも善玉よ。
お前はいいなあ、正義の味方の役ばっかしで…。
たぶんあんたには核兵器のイメージがつきまとうのよ。人類の敵、核実験で巨大化した凶暴な怪獣というイメージがね。
ウーン、俺って不幸な生い立ちだな。

ところでその生い立ちの話なんですが、ゴジラさんは核実験の放射能を浴びて巨大化した。普通はそんなことないですよね(笑)。
そんなことあるかないか、俺には分からねえけどよ、放射能を当てると生物が突然変異で巨大化するっていうストーリーはずいぶん日本中で定着したよな。
私はもともと大きな蛾だったみたいよ。ミレニアムの終わりに人類を滅亡から救うために、最初から巨大な生物として創造されたんだって。
へえ、いいなあ、お前は生い立ちからしてカッコイイ。お前は救世主で、俺は突然変異か。
本当は突然変異って遺伝子が変わることでしょ?でも確かに、生物の巨大化イコール突然変異っていう誤解は広まっちゃったわよねえ。ドイツからやって来たフランケンシュタインさんの細胞も広島の原爆で巨大人間になっちゃったし…。『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1965年)だったわ。
しかし生物の巨大化と言っても、その生物の細胞が大きくなるのか、細胞の数が増えるのか、どっちなんでしょうね。
そういう難しい話はヤメヤメ、次、行こ。

ハ…ハイ(汗)、では最初の話題をまとめると、もうゴジラさんもモスラさんも東京スカイツリーを倒すことはできないということでよろしいでしょうか?
そうね。
そういうこっちゃ。もしスカイツリーで怪獣映画を作りたかったら、アメリカからキングコングの野郎を連れて来て、あそこで木登りさせるんだな。きっと良い絵になるぜ〜(笑)。
ああ、そう言えばゴジラさんはキングコングと対戦されてますよね。『キングコング対ゴジラ』(1962年)だったかな。あの時はアメリカの大スターに遠慮して、花を持たせて帰したんでしたね。
そうそう、お前よく覚えているな。俺はキングコングの野郎ともみ合ったまま熱海の海に転落して、あいつだけ浮き上がって悠々と帰って行きやがった。本当は俺だって浮かび上がりたかったけれど、まあまあ我慢してくれと監督に言われて、仕方なく海中で息を止めて負けたふりをしてたんだ(泣)。
あの頃は私たちの映画もずいぶんアメリカさんに遠慮してたわよね。私も『モスラ』(1961年)ではね、太平洋を横断してアメリカの摩天楼を壊したわ。だけどその国はアメリカじゃなくて、「ロリシカ」っていう架空の国なのよ。その都市の名前もニューヨークみたいな「ニューカーク」っていうの。
まあ、戦後20年も経っていなかったから、まだアメリカさんに頭が上がらなかったわけだな。

最後にお聞きします。もしもう一度怪獣映画ができるとしたら、お二人はどんな映画に出演されたいでしょうか?
そうねえ、もうスカイツリーが完成した東京では出番が無さそうだから、ちょっと時代を変えて欲しいわ。
うん、そうだな。俺は『ゴジラvsキングギドラ』(1991年)で過去と未来を往復したから、タイムトラベルやタイムスリップはありだな。俺は一度でいいから戦艦大和と戦ってみたかったなあ。
それって面白いかも…。日米衝突寸前の太平洋に私たちがタイムスリップするの、ゴジラ君は日本の連合艦隊と戦う、私はハワイの太平洋艦隊と戦う、どんな強い戦艦も私たちにはかなわないわ。それで日本もアメリカも、これは戦争なんかしてる場合じゃないということになって、和平の方向に歩み寄る。
うん、俺もそんな映画に出てみたいぜ。歴史は俺たちに何をさせようとしているのか、なんちゃってね。
本日はどうもありがとうございました。

後日談ですが、この対談2年後の2014年にゴジラさんは念願のハリウッドデビューを果たし、さらに2016年には、何と戦力外通告まで受けた日本でも再デビューしました。心からお祝い申し上げます。またモスラさんも2019年にゴジラさんとハリウッドで共演しました。この対談の時は無聊をかこっていた2匹…いや(汗)お二人でしたが、ゴジラさんもモスラさんも本当に良かったですね(笑)。


更新履歴のページに戻る